印章業界の現状
印章業界はこのところ逆風続きで、1990年のワシントン条約での象牙取引の世界的な規制に始まり、一昨年のデジタルガバメント論争からはんこ議連の結成がありました。昨年は、河野行革大臣の唐突な印鑑廃止宣言の影響ではんこ不要論まで口にする人も現れて、コロナの影響もあいまって高齢者が営む印章店などには早々と廃業を決め込む所も出ています。
はんこ全体の実需がどれぐらい落ちているかどうかは、印材メーカーの生産量、ECサイトの売上高、フランチャイズの売り上げ推移などをよく確認しなければ断言できません。
ただ商品開発と製造技術を供給する当社の立場で言えることは、印章店が昔ながらの商品を昔どおりのやり方で売り続けていたのでは、いずれ立ち行かなくなるであろうことが容易に予想できます。
高級印材の変容
象牙の取引規制から代替となる高額商品としてチタン印章が取り扱われるようになってもう何年もたちます。しかし、チタン印材の価格下落と彫りが浅めでも安易に加工できるファイバーレーザー彫刻の登場で、チタン印章の価格が下落しています。
今では、当初の価格から大きくかけ離れた廉価なネット通販のチタン印章も数多く見受けられます。当社でも早くからチタン用印章彫刻システムを手掛け、たくさんの加工ユーザーにご利用いただいていますが、ネット価格の影響を受けて販売単価の落ち込みが少なからず出ています。
チタンに代わる印材としてステンレスやタングステンの金属印材も開発されましたが加工技術が追い付かなくていずれも普及には至っていません。
チタンの長所は錆びない、燃えない、摩耗しない、手取りの重さに高級感があるなどが挙げられますが、印材としてはとても硬く、従来の印章彫刻機では文字通り刃が立たない素材です。
当社が製造・販売するチタン対応彫刻システムは、高精度スピンドル、ベクトル方式の彫刻ソフト、XYZの位置決めをサーボモータで制御するなど、一般的な印章彫刻機とは全く別の仕様で高性能化したシステムです。
しかし、チタン印章の単価が下落し始めると、象牙並みの高額商品で売上高を維持するためには、さらなる付加価値を持った商品のラインナップが必要になってきます。そこで、当社でも印章業界の発展を考え、新企画の印材をいくつも企画・開発しています。その中のひとつである、「シルバーライク寄木メタル」をご紹介いたします。
次世代の高級印材「シルバーライク寄木メタル」のご提案

この写真は、印面部分に純銀とほぼ同じ柔らかさと快削性を持たせたシルバーライクソフトメタルを用いたほか、6種類の色目の違う金属から構成された全く新しい企画からなる寄木メタル印章です。
寄木メタル印章の大きな特徴は、チタン印材加工に対応できない木口用の卓上ルーター彫刻機と彫刻刃を使って、木口印材と同じような彫り上がりを得ることができるという事です。
新しく金属用彫刻機や印章彫刻機を導入しなくても、すでに木口印章用彫刻機をお持ちであれば、寄木メタル印章の調達と加工ノウハウを入手することで、新しく事業を開始することができます。
次の写真は当社の印章彫刻機「MultiBOX G-Next」で彫刻した直後の寄木メタル印章です。片刃角20度の先端0.05mm超硬刃を使用して約15分で彫刻を完了しています。

一度に0.7mm彫りこんでいますが字底もスムースで側面のバリもありません。
わずかに彫刻上端面に毛羽がありますが、これは#800のサンドペーパーで印面を仕上げるときにきれいに無くなり、美しい仕上がりになります。
寄木メタル印章の特徴は、このように彫刻が容易なだけでなく、チタン寸胴のような金属表面の無表情さとは違う工芸的な風合いが感じられること。また内部は一部をくりぬくことによってチタン印材より少し軽めになるように工夫してあり、普段使う水牛や象牙印材のような手取りの軽快感があります。
上部に琥珀樹脂を組み合わせた寄木メタル

この写真は、上部に琥珀樹脂を組み合わせています。また、滑り止めのローレットを組み合わせて、使用感を高めています。商品の発展性と拡張性として、中間部に人造鼈甲や琥珀樹脂、貴石類を組み合わせることも可能ですから、お店独自の限定仕様を作ることもできます。
印面部分は純銀に似せた柔らかさがあるため印刀で仕上げることも可能です。
フラット仕様の寄木メタル

また、この画像のように、滑り止めのローレット部分は組み込まずにほかの金属だけで、フラットな印章にすることもできます。
何より、これまで見たことのない複合素材で工芸調の風合いと高級感を持った新しい印材が、安価な木口印章用彫刻機で材料中心センサーを備えているものであれば彫刻できるというメリットは計り知れません。
当社の販売する印章彫刻機システムであれば、MultiBOXやFitBOXで彫刻ができます。印章彫刻機の詳細はこちらのページをご覧ください。すでに、MultiBOXやFitBOXをご利用の方は、ぜひお問い合わせください。
事業再構築補助金の業態転換のご紹介
そして、この寄木メタル印章は事業再構築補助金の業態転換に該当する商品です。事業再構築補助金の業態転換で申請時に求められる大切な要素として
- 商品の新規性
- 製造方法の新規性
- 五年以内に売り上げ比率で10パーセントを占める計画性
とあります。寄木メタル印章は、以上の三条件を満たしていることも大きいと考えられます。
事業計画書をお作りになるときは画像や資料をご提供いたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。