現在、レーザー彫刻機に用いられるレーザーの種類には、主にCO2レーザーとファイバーレーザーの2種類があります。CO2レーザーの場合、酸化焼結材を利用することでステンレスにマーキングできるという事は先のコラム「CO2レーザー彫刻機でステンレスにマーキングをする方法」でとりあげました。専門的にステンレスやその他の金属製品にマーキングを行うことをお考えなら、CO2レーザーに比べ、彫刻手順が簡略化できるファイバーレーザーをお勧めいたします。
このコラムでは、エピログ社製のファイバーレーザー彫刻機を用いて、タンブラー、銘板、IDタグネックレスを彫刻する方法をご紹介いたします。
エピログ社製のファイバーレーザー彫刻機
当社で取り扱うエピログ社製のファイバーレーザー彫刻機は、卓上レーザー彫刻機と全く同じ構造の筐体を持ちながら、発振器に30Wファイバーレーザーを搭載するマシン「Fibermark S2」という機種がラインナップされています。これを使えばステンレスだけでなく
- 超硬合金
- アルミ合金
- マグネシウム
- 真鍮
- 銀
など、様々な金属のマーキングができます。また、ラッカー等を色入れ出来る深さまでの彫り込みも、時間をかければ可能となります。
レーザー出力と彫刻スピードをセッティングする出力ドライバーも、CO2レーザー機と共通ですから操作に戸惑いもなく、しかも円筒のものを彫刻できるロータリーテーブルもCO2レーザー機と共通のものを使用しているので取り扱いやすいことが特徴です。
素材に応じてCO2レーザーとファイバーレーザーを併設されるユーザーもおられます。
ファイバーレーザーによるマーキングの特徴
ファイバーレーザーを使用すると、金属の表面を直接彫刻ができるので、CO2レーザーを利用した時のように酸化焼結材を塗布したり、それを後で洗い流したりする手間はかかりません。また、酸化焼結材特有の粒状感も見られなくなるので、微細な彫刻や、すっきりしたマーキングを細かい文字にもできます。
また、ルーター彫刻機と比べると、彫刻が困難な超硬工具や金型製品へのロゴやシリアルナンバーのマーキングにも、手軽にばらつきもない仕上がりが得られるため、大変重宝されるアイテムの一つになることでしょう。
それでは、タンブラー、銘板、IDタグネックレスの加工事例をご紹介いたします。
ステンレス製タンブラーの名入れ
エピログ社製ファイバーレーザー彫刻機に円筒のものを彫刻できるロータリーテーブルを設置。その上にタンブラーを載せて、ファイバーレーザーでマーキングを行いました。
ファイバーレーザー彫刻機で金属にマーキングする場合も、素材の違いや、レーザーの出力度合によって、彫刻深度や発色に差が出ます。これは、CO2レーザーの時と同じです。ファイバーレーザー彫刻も「すべてはまず試してみること」から始まります。
PCにインストールされたドライバーには事例集が入っており、ここに基本的な設定がテンプレートとして保存されています。事例集に見られる数値的なセッティングは、あくまでもサンプルです。自分の求める仕上がりを得るための基準値として、彫刻スピード、レーザー出力を少しずつ変えてみることで、より理想に近づけることができます。
その出来上がりに満足する結果が得られたら、その時の彫刻スピードとレーザー出力等の条件をドライバーのアドバンスページに保存しておいて、「次回からは同じ素材ならテスト無しでいきなり」同じ仕上がりのマーキングを行うことができるようになります。
ステンレス銘板の彫刻
このサンプルは、ステンレスの板に会社名やスペックなどを彫刻したものです。左側の銘板は、浅く彫刻して光沢のある黒っぽい色合いを出したものです。右側の銘板は、深めに彫って茶色い色合いを出したものです。
ファイバーレーザー機での仕上がりは、周波数、レーザー出力、彫刻スピード、フォーカスの条件を変えることで、マット状の焦げ茶色や光沢のある黒色まで表現することができますが、これもアドバンスページ登録することでいつも同じ仕上がりを求めることができるわけです。
このような銘板を自由自在に彫刻できるファイバーレーザー彫刻機は、オンデマンドで銘板を製造したい業界で重宝していただけることでしょう。
また、この技術を応用して、ステンレス表札の彫刻も可能です。
IDタグネックレスの彫刻
このサンプルは、IDタグネックレスを彫刻したものです。QRコードの彫刻も可能です。自由に彫刻できるので、ミリタリーショップやアクセサリーショップでもご導入いただけます。写真のサイズのIDタグ彫刻であれば、1~2分程度で完成するので、お客様に少しお待ちいただいている間に彫刻が可能です。
さまざまな金属の彫刻が可能な、ファイバーレーザー彫刻機のことなら、彫刻ノウハウが豊富なテクノロジックにご相談ください。