レーザー彫刻機を導入したら、アルマイト製品の彫刻にはじまり、段階的に付加価値の高い仕事を商品化してゆきたいところですが、ここでは、これから伸びる可能性のあるいわゆるインバウンド需要のものとして、レーザー彫刻機を用いた木材プレートや竹材プレートの彫刻の仕方を考えてみましょう。
レーザー彫刻機で木札を製作する
外国人観光客の増加などで和風表記の需要が増えてきています。
観光地では、外国人旅行者が好むもの、お土産として買ってゆく商品だけでなく、訪れる場所にさりげなく配置された案内板や看板、旅館やホテルの室名札に和風の素材を使って複数の言語で表記したいという需要はこれからたくさん増えると考えられます。
レーザー彫刻だけで商品化できるものとしては、木材や竹材で出来た和風のプレートというのはいかがでしょうか?
このような和風のプレートを室名札として利用し、ホテルや旅館にも和風というテイストを盛り込むことで、外国人旅行者にもウケがいいものになると思います。
また、生地の木札にレーザーで文字を彫刻することは、レーザー彫刻の中でも、最も初歩的な仕事の一つです。レーザー彫刻機を初めて導入された方は、最初の経験として木札の製作をお勧めしております。材料は、ホームセンターなどの身近な所で入手できますし、材料自体が安価なので、失敗してもあまり損失はありません。
木材の入手方法
まず、木材を入手する手っ取り早い方法はホームセンターに行くこと。
アルダー材やヒノキの板はたいてい置いてありますし、購入すれば指定のサイズに切断もしてもらえます。
ホームセンターに行くのが面倒ならネットで探してもたくさん見つかります。
お勧めしたい樹種としてはブナ、樫、ナラ、イチョウ、カエデなどの広葉樹の板目に製材されたものです。ブナや樫、カエデやイチョウなど、木目があまり目立たなくて白っぽい木材が、レーザー彫刻できれいに発色しやすいようですが、発色を促進するスプレーもあります。
木目には板目と柾目があって、柾目はレーザーの焼き上がりに細かい段差と色むらができるので避けたいところです。
ほしいサイズがなければスライドソーなどの工具できれいに切断できます。レーザーで木材を切断すると断面が焦げて商品価値が落ちるので、特に厚めの板ではお勧めしません。まっすぐ長方形に切断するにはスライドソーが必須でしょうか。
木材のレーザー彫刻
後は、購入してきた木材を、レーザー彫刻機にセットして、レーザーの出力や移動速度の設定をし、プリンター出力の要領で印刷出力をするだけです。
木材の発色の具合や彫りの深さなどの微調整のために、いくつかテスト的な木材を用意しておくことをお勧めいたします。
レーザーでの木材の切断について聞かれることがあります。レーザーで切断した断面に焦げが付きますが、それが風合いとなって、商品価値を高めることもあります。焦げの具合は、木材の種類や切断速度によって異なります。
実際にレーザー彫刻してみよう
木材によっては、レーザーを照射した箇所の周りにヤニが出るものもありますから、ヤニで全体が汚れないようにマスキングをしておくことをお勧めします。写真では、ターコイズ色のマスキングテープを木材全体に貼っています。
次の写真は、レーザーで名入れが終わった様子です。レーザー彫刻を行うことで、木の表面にヤニが付着してしまったら、それを落とすクリーナーもありますが、手間と仕上がり、クリーナーのコストを考えるとマスキングの方が簡単で安上がりです。
レーザー彫刻した部分の発色は、レーザー出力や移動速度の設定、樹種によっていろいろ変わってきます。また木によっては同じ板の裏表でも発色が違うことがあります。アメリカでは発色を促進するスプレーも使っているようです。色の濃さやムラにこだわるのであれば、レーザー彫刻だけで解決しがたいところです。
もし、レーザー出力や移動速度の設定を何度変えても思った焦げ色が出ない場合は、アクリル絵具を調色して筆で色入れしましょう。マスキングテープの副次効果で、生地に絵の具を付着させずに色入れができます。絵具が乾いたら、マスキングテープをはがすだけなので、思ったより手間はかかりません。
レーザー彫刻のみとアクリル絵の具での色入れの比較です。上側がレーザー名入れのみ、下側がアクリル絵具で色入れしたものです。アクリル絵具で色入れすると、レーザーの焼き色とは違いますが、特に濃い色では表現の幅は広がります。
調色のテクニックによっては、レーザーで焼いただけのように見えるものもありますから、この方法も侮れません。