創業三十周年のEPILOG

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EPILOG INC.はいまから三十年前に、世界に先駆けてプロッタ型のCO2レーザー彫刻機を発売した会社です。この夏(2018年8月)、本社のあるコロラド州ゴールデンと隣町のデンバーで、創業30周年の祝賀行事が三日間にわたって行われました。

成田からデンバーには、ユナイテッド航空の直行便があるので割と気軽に出かけられるのですが、今回はお盆休みにかかっていて、787ドリームライナーの客席はすべて満席のいつもとは違う機内の様相です。

初日のディーラーミーティング

8月9日 空港からタクシーでセミナー会場になっているデンバーのホテルに行くと、新製品の紹介がすでに始まっていました。

ここではまだ発売前の商品であるため詳しくは書けませんが、昨年の秋に訪問した時、社長から聞いていたものとはまったく違うサイズの競合他社にぶつけるための機種でした。

会場には円卓がたくさん並べられ、全米のEPILOGディーラーだけでなく、ヨーロッパ、南米、中近東、オセアニア、遠くはアイスランドからも駆けつけて総勢200人ほどです。

アジアからもフィリピンから夫婦が、台湾からも夫婦で、シンガポールからは親子三人、日本からは私が一人だけ、決められたわけではなくなんとなく同じテーブルに集まってしまいます。

夕方からは近くの球場Coors Fieldで、コロラドロッキーズがLAドジャーズを迎え撃つ試合の観戦です。58,000人が収容できる、上に向かって大きいスタジアムはゲームが始まって30分以上たつのに入り口には長蛇の列です。

外野レフト線上のJackDanielsテラス席からホームまではカメラを20倍のズームにしてやっと選手の名前がわかるくらい。

テラス席の下には貸し切りのパーティーコーナーがあって、ソファに座ってビールを飲みながらテレビ観戦もできます。

テラスでの立ち見に疲れた私はソファに座ってモニター画像を見ていたら、隣の席に社長夫婦たちがきたので記念に一枚パチリ

この球場には歴代でも一人だけ、ドジャーズにいた野茂英雄投手がノーヒットノーランを達成したという伝説が刻まれています。デンバーは標高が高いから外野席の上段には海抜1600mの紫色のラインがあるくらいで、空気が薄いとバッターの打球は飛ぶわ、ピッチャーの変化球は曲がりにくいわ、ということで一試合平均のチーム得点が8点という球場です。そういう圧倒的に打者に有利な場所でノーヒットノーランをやってのけるなんて、やっぱり野茂はメジャーリーガーたちもあきれるくらいあっ晴れな日本人です。

私が行ったあくる日は、広島カープからドジャーズに行った前田健太投手の先発試合でした。試合のチケットは球場周りのダフ屋から買えますが、「谷底をのぞきこむような遠く離れた試合を見るために、またあのデカい球場に行くのか」と迷っていたら、ロッキーチャンネルというハイビジョンの中継があるのがわかったので、ホテルの自室でCoorsビールを呑みながらじっくりテレビ観戦でマエケンを見ました。カープにいた頃よりあごから首回りがふっくらして、やはりこちらは食べるものがおいしいのでしょうか?この日は7回で降板して負け投手になりましたが、そのあと先発ローテーションから外されるという運命が彼には待っていたのでした。

二日目のエピログ見学

二日目は工場見学でいろいろなところを見て回りました。

圧巻はやはりクリーンルームで発振器を自社生産するブースです。

レーザー加工機の組み立てやレーザーの出力チェック、調整、ガスの再充填など、それぞれに専門スタッフが居て、きびきびと働いています。

ちなみにEpilogの競合他社では、発振器はいまだに他社から仕入れた汎用共通部品を使っているところがあります。蛇足ですがこれはトヨタや本田、マツダのように自動車メーカーがエンジンを自社で独自に開発しているか、いすゞ等のエンジン専門メーカーの出来合い品を搭載しながら自社製の車として売るかくらい、技術レベルと会社の規模で差があると思います。

工場の出荷口では、配送担当のスタッフたちが木箱を組んだり梱包をパレットに乗せたりしていました。先月40フィートのコンテナ船便でレーザー加工機を発注したばかりのテクノロジックのことを覚えてくれていて、「コンテナいっぱい詰めるのは大変だったぜ」と言ってくれました。

本社からサービスセンターに移動する間、歩きながらアイスランドのEPILOGディーラー夫婦と会話を楽しみました。本国アイスランドには四季があって、火山の地熱とメキシコ湾流のおかげで緯度は高いのに冬もさほど厳しくないこと、人口は320万人で主な仕事は漁業であるとなど、いろいろお国事情を話してくれました。「いっぺん遊びに来い」とも言ってくれるので、「そっちこそ日本に来なさい」と言ったら「もう一枚名刺をくれ」と言われました。

三日目のレセプション

三日目は自由行動の後、夕方から貸し切りのパブで立食のパーティーです。

他のディーラーや工場のスタッフたちと談笑していたら、「この人の奥さんは日本人なんだ」といってMike社長が私の前に連れてきて紹介してくれた、開発部長のChadと奥さん。

当時、彼はミドルクラスのレーザー加工機「HELIX」を設計から担当しているそうで、奥さんが隣に居るからか、しきりに日本語で私と会話しようとします。ひょっとして日本語会話の他流試合的レッスン?

Mike社長は最後にマイクを片手に立って、30年前に会社を興した時から現在までにいたる経緯をメモも見ないで20分以上来場者に話してくれました。途中で創業メンバーを一人一人紹介しながらその功績をたたえるあたりはさすがです。

弊社も来年が三十周年ですが、メモを見ないで20分も延々物語る自信はありません。それよりうちも記念パーティーやれるのかな?

今ぐらいから準備しておかないとマズいことになるかも?

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